溶接棒の基礎知識
溶接棒の基礎知識②~被覆剤の役割~
みなさんこんにちは。溶接市場店長の上田です。
第2回目の今回は「被覆材の役割」をお伝えします。
第1回目は溶接棒の被覆剤の種類についてお伝えしましたが、今回は被覆剤が溶接にどのような役割を果たすのかをお伝えしていきます。
被覆剤の働きは以下の通りとなります。
①アークの発生を容易にし、アークを安定化します。
②ガスを発生させ、溶融金属を覆い大気中の酸素や窒素が溶接金属中に進入するのを防ぎます。
⇒大気中の酸素や窒素が溶接金属中に入るとピットやブローホールの原因となるので、溶接中は溶接金属を保護する必要があります
③発生したスラグはビード外観を良好にし、冷却速度を遅くします。
④スラグの融点、粘性、比重を調整し、各姿勢での溶接を容易にします。
⑤溶接金属の脱酸及び清浄化を行います。
⇒被覆剤中にマンガンやケイ素を含有させ、酸素をスラグとして強制的に除去します。
⑥合金元素を添加し、目的の性能を得ます。
⇒鉄粉で作業効率を向上させることがあります。
つまり、被覆剤が分解・溶融することにより発生したガスやスラグの複合作用で溶接部をシールド(保護)し、溶接品質を維持しているのです。(下の図のイメージです)
- 2018.06.07
- 16:15
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